絶対に一度は読みたい本7選 読んで「後悔」はしません!
☆「三屋清左衛門残実録」 藤沢 周平
☆「風が強く吹いている」 三浦しをん
☆「北の国から SCENARIO1981-89」 倉本 聰
☆「定年オヤジ改造計画」 垣谷美雨
☆「チーム」 堂場 瞬
☆「明日の子供たち」 有川 浩
☆「あめつちのうた」 朝倉 宏景
「三屋清左衛門残実録」 藤沢 周平
定年退職の少し前に出会った本。定年をむかえそうな年齢に差し掛かったあなたにお薦めしたい本。
全15話からなっている。その第1話「醜女」の中で、こんな文章があった。
「隠居した清左衛門を襲ってきたのは、そういう解放感とはまさに逆の、世間から隔絶されてしまったような自閉的な感情だったのである。・・・・・ 隠居をすることを、清左衛門は世の中から一歩しりぞくだけだと軽く考えてい節がある。ところが実際には、隠居はそれまでの清左衛門の生き方、ひらたく言えば暮らし手と週間のすべてを変えることだったのである。・・・・・むかしにもどることが出来ないとすれば、その空白感は何かべつのもので、それも言えば新しい暮らしと週間で埋めていくしかないみとも理解できた。・・・・」
(定年後にはそんな風になるものなのかなあ)と漠然と思ったことを記憶している。そして、実際に定年をむかえ、清左衛門の思いが身に染みるように感じたこともはっきりと覚えている。
「風が強く吹いている」 三浦しをん
箱根駅伝に興味がある方、「走る」とはどういうことなのか、若者ががんばる青春物語から力を得たいと思う方たちにお薦めの一冊である。
寛政大学に通う9人の学生、彼らが住んでいる竹青荘は寛政大学陸上競技部練成所だった。しかし、ある一人を除いた8人はそのことを知らずに住んでいた。
ある一人とは中心的人物の一人「清瀬灰二」。その清瀬がひょんなことからもう一人の中心「蔵原走」と出会い竹青荘に誘う。そして、竹青荘の住人が10人になり、いよいよ物語は箱根駅伝へと展開していく。この二人以外の8人もまたなかなかの個性的なメンバー。
筆者は「風」をキーワードとしている。それはなぜなのだろうか。そのことがよくわからずもう何度も読み返している。年の瀬になる頃、箱根駅伝が終わった後、そして、読みたい本が見つからないとき・・・・もう何度この本を読んだことだろうか。
「北の国から SCENARIO1981-89」 倉本 聰
黒板五郎さん役の田中邦衛さんが亡くなられた。本当に残念でならない。追悼の意を込めてこ本を紹介したいと思った。
物語を小説として読むこと以外の「物語の楽しみ方」をこの本で知った。シナリオで物語を読んだのは後にも先にも「北の国から SCENARIOSCENARIOt」が初めてだった。
「北の国から」の世界にどっぷりとつかりたい方、シナリオで想像を膨らめて読むことに楽しさにふれたいと思う方に、お薦めの一冊である。
この本には、「全24話」「83冬」「84夏」「87初恋」「89帰郷」のシナリオが載っている。約700ページの分厚い本である。
テレビで放映されたのは、私が大学生の頃だった。その頃はあjり関心もなく、小さい14インチ程度の白黒テレビしか部屋にはなかった。学生の頃はあまりテレビを見ることもなかった。
だから、「北の国から」をリアルタイムでテレビでは見ていない。どうしてこの本を購入したか、その記憶がはっきりしない。はっきりしていることは、このシナリオ本を見て、その後、放映されたすべてのドラマを見たことだ。シナリオ本の良さは、短い言葉・設定場面のちょっとした説明などから読者の想像がぐんと広がっていくことだと思う。それくらい、この本の世界にどっぷりとはまり込んでしまった。
例えば、17話、黒板令子が富良野を訪れ、やがて富良野を去っていく場面。見送りに来なかった蛍が川岸沿いに走って母令子が乗っている列車を追いかける場面・・・・
本多の声「きれいな川」
令子。
本多の声「これ、空知川?」
玲子。
間。
・・・いきなり窓にはりつく
窓外
沿線。
川の向こうをけん命に走っている少女の姿。
・・・・蛍
列車
令子、狂ったように窓あけ外へ手をふる。
令子「(口の中で) 蛍・・・・」
川岸
蛍、走っている。
もう然と列車を追い、けん命に走る。
車窓
令子の顔
音楽・・・「愛のテーマ」イン。B.G
川岸
走る蛍。
その目からボロボロ涙があふれている。
その姿が・・・・
いかがでしようか。文章からいろいろな想像が頭の中を駆け巡っていくような錯覚に陥りませんか?
「定年オヤジ改造計画」 垣谷美雨
「定年後に訪れる夫婦関係の危機」「夫が考えていること 妻が考えていること その食い違い」「定年前と定年後、夫婦はどう生きていったらよいのか」「夫が考えていること・妻が考えていること それを知りたい」 そんなことを思っている人にお薦めの一冊です。
「夫源病」という言葉をきいたことがありますか?夫の言動が原因で、妻がストレスを感じ、溜まったストレスにより妻の心身に生じる様々な不定愁訴を主訴とする疾病概念(wikipedia)
主人公・定年オヤジ 庄司恒雄は、定年まで会社一筋で生きてきた。「家庭を守るのは妻の責任」「主婦の仕事は夫の仕事に比べれば・・・」「子育ては妻の仕事」「それでも自分はこれまで妻や子供を守るために働いてきた」「定年をむかえたら妻を海外旅行ぐらい連れて行ってあげよう」
こんな考え方をしている定年オヤジは、どこにでもいる。
しかし、妻は夫源病になっていた。娘に責められ、妻からも疎んじられ、しかし、なかなか自分自身に原因があることに気付けない恒雄。
男なら、定年時期にある男性なら、きっと恒雄に共感できる部分もあるだろう。そうした夫婦の危機を恒雄は乗り越えていくことができるのだろうか。
「チーム」 堂場 瞬一
「スポーツ好き」「人とのかかわり方「勇気をもらいたい」そんな人にお薦めの一冊です。
この本に出会って箱根駅伝への興味が一層強まった。
そう、この物語の舞台は「箱根駅伝」。物語の中心チームは「学連選抜」。
中心人物は、浦大地(うら だいち)と山城悟(やましたさとる)。浦はある大学の駅伝チームのキャプテン、チームは箱根駅伝予選会で11位となり、大会への参加ができなくなる。一方の山城も予選会で個人としてトップだったもののチームは敗れる。
しかし二人は「学連チーム」のメンバーに選ばれ。チームメイトととして箱根駅伝へと挑んでいく。しかし、そこからキャプテンに選ばれた浦の苦労と様々なドラマが始まっていく。
究極のチームスポーツ「駅伝」。敗者の寄せ集め「学連選抜」のメンバーは、何の為に襷をつないでいくのか・・・・
この物語を何度読んだだろうか。もともと箱根駅伝もスポーツも好きなわたしだが、もしそうでなくともこの物語にどっぷりと入り込んでいったに違いないと思う。それほど物語の展開から目も心もはなせられない。あっという間にのめり込んでいく超推薦本である。
「明日の子供たち」 有川 浩
「人の成長にかかわる「職場で成長していくために」「特別支援教育「養護施設のこと」などに関心がある方にお薦めの本です。
90人の子供たちが住む家指導養護施設「あしたの家」。
様々な事情から親と一緒に住めない子供たちが、一つ屋根の下で暮らしている。
主人公 三田村慎平は、希望に溢れて「あしたの家」に着任する。様々なドラマを通して成長していく慎平、その姿からわたしたちはいろいろなことを考えてしまいます。
☆甘やかすと愛すること
☆施設の子供たちはかわいそうなのか
☆「あしたの子供」ってどういうことなのか
そんなことをつい考えてしまう物語です。
「あめつちのうた」 朝倉 宏景
「進路」「父親として子への接し方」「甲子園「グランドキーパ―の仕事」などに関して興味や関心がある方にお薦めの一冊です。
主人公 雨宮大地は19歳。東京出身の彼は高校卒業後、阪神園芸株式会社に入社し、甲子園球場のグランドキーパーを目指す。
物語の幹・キーワードとなるものが「雨」と「土」。この「雨」と「土」に関わりながら、大地を中心に様々なドラマが展開していく。
物語に登場する人物も、一人一人が大変個性的で、しかもそれぞれがいろいろな悩みを抱えている。青春群像が織り成す物語と言ってもよいのだろうと思う。
それでもやはり物語の芯は「父子」であり、「雨は父、土は子」という関係性なのかもしれない。そうすると作家というものは、やはりすごいとしか言いようのない人たちなのだろうと思う。
ひさびさに静かで温かい感動を与えてくれた一冊である。
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